2013/01/05(土)
「ちーちゃんは悠久の向こう」日日日(角川文庫 )
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日日日であきらと読むという、不気味なようなしゃれているような名前の作家を知ったのはいつだっただろうか。ペンネームの読みだけ分かって納得してしまって、ずっと読まずにきていた。
今回読んだのは、その日日日であきらのデビュー作だそうだ。 主人公は高校生の男の子で、「ちーちゃん」とはその主人公の住むアパートのお隣さんの同級生の女の子である。小さいときからずっとお隣さん同士で育っているが、ちーちゃんは怪談好きで幽霊が見たいと言っては主人公をちょっと怖がらせるかわいい女の子。二人の関係が丁寧に描きだされていくなかに、主人公の境遇も見えてくる。ちーちゃんのありようも見えてくる。日日日もあとがきで述べているが思春期の人のあやうさのようなものが見えてくる作品なのだろう。
が、思春期のあやうさ以前に、主人公の周囲を見る目の節穴ぶりが振りきれていて(思春期特有の節穴ぶりは作者によって織り込まれているのがわかるが)、大丈夫だろうかこの男子はと思った。 | | |