きのこのへや

■プロフィール&研究業績

氏名: 木下寛子(きのした・ひろこ)

所属: 九州大学大学院人間環境学研究院

研究領域
    環境心理学/発達心理学・社会心理学・文化心理学

研究キーワード
雰囲気、小学校、教室、参加観察、記述と表現、現象学
研究テーマ
雰囲気とは? ……雰囲気について考えています。

さっきまで明るい気分でうきうきと歩いていたのに、ある部屋に入った途端、その部屋の気まずい雰囲気に、自分自身のうきうき気分が吹き飛んでしまう――そんな体験は、きっと誰にでもあるはずだ。私たちは雰囲気に出会う中で、大きく自分の気持ちまで大きく振り回されることがある。これだけ大きく私たちの気持ちを左右するものであるにも関わらず、「雰囲気とは一体何なのか?」と自らに問い、他者に問うても、充分に答えることは難しい。

確かに「雰囲気」について、それが何なのかと問うとき、充分な答えは見出し難い。けれども、そのことがらは、これだけ私たちが生きていく瞬間の隅々に浸透していて、お互いにそれを雰囲気と呼びあえている。実は答えも、手の届くところにあるのではないだろうか。

雰囲気とは何か?この問いに答える糸口として、わたし自身がこのように問わずにはいられなくなった場所(ボランティアとして訪れているある小学校)での体験を手がかりに、雰囲気の省察を始めた。

小学校をはじめとして、わたしが身を置く場所から、その場所のこと、その場所の雰囲気のことを深く味わい、考えること、書くこと。それが、今の私の仕事だ。
学位等論文
【博士論文】
■九州大学大学院人間環境学府都市共生デザイン専攻 平成28年度博士論文(甲)
木下寛子.(2017). 小学校の日々から始まる雰囲気の解釈学的現象学

【修士論文】
■九州大学大学院人間環境学府都市共生デザイン専攻 平成17年度修士論文
木下寛子.(2006). ある小学校への参加観察を通した雰囲気の研究:「ゆれ」に関する論考を起点として

【卒業論文】
九州大学教育学部 平成15年度卒業論文
交流教育を積極的にすすめるある小学校における特殊学級の雰囲気を捉える試み:「ゆれ」「ゆらぎ」に注目して

研究業績
【論文】
江口祐輔・木下寛子・細川晋一郎・ロペス, M. A.. 生活空間としての街路から見るの様相. アジア都市研究 6巻(1号), pp17-27; 2005.

木下寛子. 雰囲気の現象学に向けて:ボランティア活動の中で体験されたある小学校の雰囲気を踏まえて. 九州大学心理学研究 8巻, 23-30; 2007. →PDF(九州大学学術情報リポジトリ該当ページへ)

阪本英二・木下寛子.隠れた質が存在するところ:「質的研究」再開のための論考.質的心理学フォーラム(日本質的心理学会)5巻,48-56; 2014.1.

木下寛子.「学級アセスメント」が雰囲気の意味にもたらすもの : 小学校の日々への参与を通した雰囲気の解釈学的現象学.九州大学心理学研究 : 九州大学大学院人間環境学研究院紀要 17巻, 9-17, 2016

木下寛子.雰囲気が言葉になる時:小学校の日々から始まる雰囲気の解釈学的現象学.質的心理学研究 16号,191-210, 2017.
【著書】
2014年4月 荒木佐和子・木下寛子「はじめてのがっこう」福岡市JSL日本語教育研究会
【学会発表】
―いずれもポスター発表・査読なし
山下智也・山本幸子・木下寛子・江上雄作・松本光太郎・阪本英二.散歩体験の記述と表現(1).人間環境学会大会. 東京工業大学 2003年5月

木下寛子・江上雄作・山下智也・山本幸子・松本光太郎・阪本英二. 散歩体験の記述と表現(2):個人的体験としての散歩はどの程度共有可能か. 人間環境学会大会. 東京工業大学 2003年5月.

木下寛子. ある小学校の特殊学級の雰囲気(「ゆれ」)を捉える試み. 人間環境学会大会. 千葉工業大学 2004年5月.

新名佐知子・江上雄作・木下寛子・山下智也・山本幸子・南 博文. 学校という場の意味:博多小学校POE調査を通して. 人間環境学会大会. 千葉工業大学 2004年5月.

木下寛子・南 博文. (2004). 交流教育を積極的にすすめるある小学校の特殊学級における雰囲気を捉える試み: 「ゆれ」「ゆらぎ」に注目して: 定性的研究の実際(108). 日本心理学会68回大会 論文番号1PM007 関西大学 2004年9月.

木下寛子. (2005). ある小学校の特殊学級における雰囲気の様相について―「ゆれ」に注目して―. 日本教育心理学会. 浅井学園大学 2005年9月.

木下寛子. (2006). 雰囲気の様相を通した「身を置く場所」の考察:ある小学校への参入から. 日本心理学会. 九州大学 2006年11月.

木下寛子. (2010). ある小学校のフィールドワークを通した雰囲気の考察:「様相」・「とどまること」・「返照」をめぐって. 日本質的心理学会第7回大会 論文番号7番. 茨城大学 2010年11月.
木下寛子.(2017). 小学校の風景:参与を通じた場の全体性理解の契機と展開. 日本質的心理学会第14回大会, 首都大学東京(荒川キャンパス) 2017年9月.

【総説等】
江口裕輔・木下寛子・細川晋一郎・マリア・アレハンドラ・ロペス (2006). のマチ・ミチ・ヒト:生活空間としての街路から見るの様相:シリーズアーバンデザインを考える―05. 季刊都市情報誌fU(エフ・ユー)第6号, pp38-39; 2006.

木下寛子(2010). Episode2(実行委員の体験談). 2009年度人間環境学コロキウム実行委員(九州大学大学院人間環境学府)(編)「人間環境学コロキウム10年のあゆみ2009年度報告」, p8; 2010.

木下寛子.(2010).海風の向こう側から:フィールドエッセイ第2回.質的心理学フォーラム第2号,pp117-120.→PDF(Cinii論文:独自ページへ)

田中裕一・木下寛子(2018). イラストで学ぶ合理的配慮 B and A(第2回):教科書等の文字を読む. 教職研修, (549), p.59. (2018年4月).

田中裕一・木下寛子(2018). イラストで学ぶ合理的配慮 B and A(第3回):教科書等の文字を読む(2). 教職研修, (550), p.53. (2018年5月).

田中裕一・木下寛子(2018). イラストで学ぶ合理的配慮AandB(第4回):聞きたい音や考える作業に集中する. 教職研修, (551) , p.59. (2018年6月).

【シンポジウム・企画】
■2006年 自主シンポジウム話題提供
第17回日本発達心理学会大会 (九州大学 2007年2月)自主シンポジウム
木下寛子. (2006). 問いを「わたしの問い」として据えること.

「質的データ」への異和感:私たちが考える質的研究
企画: 松本光太郎(九州大学、名古屋大学)・大倉得史(九州国際大学)
司会: 松本光太郎(九州大学、名古屋大学)
話題提供者: 大倉得史(九州国際大学)・阪本英二(九州大学)・木下寛子(九州大学)
指定討論者: 鯨岡峻(京都大学)・森岡正芳(奈良女子大学)
■2007〜2008年 委員会
2007年度九州大学人間環境学コロキウム実行委員.

■2008年 ラウンドテーブル・シンポジウム企画・司会
2007年度九州大学人間環境学コロキウム(九州大学 2008年2月)ラウンドテーブル(第1部)とシンポジウム

ラウンドテーブル第一部「建築の安全像」
―建築構造や災害管理について学生が紹介し、私たちの生活の器 である建築の安全について考える。
話題提供 : 空間システム専攻・都市共生デザイン専攻修士課程1年生ら
企画・司会: 木下寛子(人間環境学府都市共生デザイン)・勝原聡寛(人間環境学府空間システム)

シンポジウム「安全」を考える
話題提供:工藤和美(建築家:東洋大学・シーラカンスK&H)
       小松太郎(国際教育開発:九州大学)
       三浦利章(認知心理学:大阪大学)
司会   :木下寛子(人間環境学府都市共生デザイン)
企画   :人間環境学コロキウム実行委員
■2011年 会員企画シンポジウム(話題提供)
日本質的心理学会第8回大会(安田女子大学 2011年11月)会員企画シンポジウム
木下寛子(2011)始めなおす場所:小学校と学童保育の「食べる」場面をめぐって.→PDF(QIR(九州大学学術情報リポジトリ):独自ページへ)
シンポジウム「農と食と心理学」
企画: 石井宏典(茨城大学)
司会: 石井宏典(茨城大学)
話題提供者: 石井宏典(茨城大学)・菅野幸恵(青山学院女子短期大学)・木下寛子(九州大学)
指定討論者: 浜田寿美男(奈良女子大学)
■2012年 会員企画シンポジウム(話題提供・企画)
日本質的心理学会第9回大会(東京都市大学 2012年9月)会員企画シンポジウム
木下寛子(2012)学校の世界と「畑の体験」―小学校の日々から―.
シンポジウム「農と食と心理学―その3」
企画: 石井宏典(茨城大学)・菅野幸恵(青山学院女子短期大学)・木下寛子(九州大学)
司会: 菅野幸恵(青山学院女子短期大学)
話題提供者: 渡邊芳之(帯広畜産大学)・石井宏典(茨城大学)・木下寛子(九州大学)
指定討論者: 浜田寿美男(奈良女子大学)
■2015年会員企画シンポジウム(企画・司会・話題提供)
日本質的心理学会第12回大会(宮城教育大学 2015年10月)会員企画シンポジウム「生活世界と雰囲気:農と食と心理学4」
企   画:木下寛子・石井宏典・菅野幸恵
司   会:木下寛子(九州大学)
話題提供者:石井宏典(茨城大学)・菅野幸恵(青山学院女子短期大学)・木下寛子(九州大学)
指定討論者:浜田寿美男(奈良女子大学名誉教授/立命館大学)
■2017年ラウンドテーブル(話題提供)
九州教育学会第69回大会(鹿児島大学,2017年11月)ラウンドテーブル「学校コンサルテーションによる OJT 型管理職育成の施行:その可能性と課題」
木下寛子(2017)『関与観察』としての学校コンサルテーション:九州大学学校コンサルテーションの試みから. 企画・司会:元兼正浩(九州大学)
話題提供者:原北祥悟・殷爽・申芸花・鄭修娟・木下寛子(九州大学)
【受賞】
2010年11月 日本質的心理学会第7回大会 最優秀発表賞
2017年9月 日本質的心理学会第14回大会 ポスター発表賞
職歴
  北九州保育福祉専門学校 介護福祉科 非常勤講師 (2008.4〜)
  北九州保育福祉専門学校 介護福祉専攻科 非常勤講師(2009.4〜2010.5)
  大原保育医療福祉専門学校 保育福祉学科 非常勤講師(2008.9〜)
  九州女子大学 人間科学部人間発達学科人間発達学専攻 非常勤講師(2009.4〜2011.9)
  九州女子大学 人間科学部人間発達学科人間基礎学専攻 非常勤講師(2012.9〜)
  北九州リハビリテーション学院 理学療法学科・作業療法学科 非常勤講師(2011.4〜)
  長崎県立大学 非常勤講師(2014.9〜)
  九州龍谷短期大学保育学科 非常勤講師(2011.9〜2015.3)
  福岡女学院大学 人間関係学部子ども発達学科 非常勤講師(2014.4〜2014.8)
西南学院大学 人間科学部 非常勤講師(2016.4〜2016.9)

研究助成
  2008年度 九州大学大学院人間環境学府:学位取得(課程博士)に向けての研究助成
  2017年度 九州大学大学院人間環境学府:平成29年度萌芽的学際研究に対する研究助成 研究代表者(課題名:情況を読む〜ランドセルから任侠映画まで――人間環境学における解釈学の可能性に向けて――,研究組織:木下寛子,伊東達也・宮本 聡・野口雄太・田中友佳子・南 博文)


そのほか
  2009年6月 平成21年度「第1回食育推進セミナー」(福岡市教育委員会)話題提供(講師):「学校の中の子ども:『食べること』をめぐって出会うこと」
  2013年3月 福岡市小学校日本語初期指導テキスト:パイロット版(デザインおよび共同編集)
  2018年4月〜日本質的心理学会 研究交流委員
  2018年4月〜日本質的心理学会 査読委員


所属学会

  日本質的心理学会(2005〜現在)
  日本教育心理学会(2004〜現在)
  日本発達心理学会(2016〜現在)
(2005/12/16:作成、2018/06/28:更新)
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